Special Interview with

Junichi Abe

kolor

素材・パターン・価格・時代性など、様々な角度から一番良いバランスが模索され、ひとつで完結するアイテムが、服好きの心に強く響くブランド、カラー。
ランドオブトゥモローとは、丸の内の店舗ができた当初から10年の付き合いになり、これまで感度の高い人たちから注目と人気を集めてきました。いわばショップを象徴するブランドといっても過言ではありません。そんなカラーを手がけるデザイナー阿部潤一さんに、その類い稀なる創造力の源について聞いてみると──。
「2019-20年秋冬のメンズコレクションは、エレガンスや洗練、優雅といったイメージとは逆側にあるものを表現したいと思っていました。もちろん洗練されたものが嫌いなわけではなくて、ずっと追い求めていると反対のことをやりたくなるんです。“洗練”の対局として頭に浮かんだものが“汚い”でした。自分が思う“汚い”イメージを探る中で、壊れていく、あるいは破れていく「破壊」、さらには壊れたものを修理、再構築する「ドッキング」というキーワードが生まれてきました。同時に、スポーティでハイテクな雰囲気だった先シーズンとは対照的に、私が以前から気になっていた60〜70年代の登山家のローテクな「マウンテニアリング」からもエッセンスを取り入れています。自分の感情はいつも同じところにあるわけではないので、次はシンプルなテーマやデザインに戻るかもしれない。このような揺り返しの中でコレクションが形作られています」シーズンを重ねるたびに、着る人の感性を飛び越え、新しい感動を与えてくれる阿部さん。同じ場所にとどまらず変化し続けるセンスを服に落とし込む一方で、その中には世界を魅了する確固たる軸が存在します。
「いつも考えていることは、どうすれば人に違和感を与えながら受け入れてもらえるか。ただ人の意識にスッと入るだけのものでも、強い違和感だけを残すものでもだめなんです。例えば、クラシカルなトレンチコートは当たり前のようになじみがありますが、袖が100本あるジャケットには違和感を覚えるでしょう。その間でバランスが取れているポイントを探すことが大事なんです。今季のコレクションにも登場している、2m以上の人が着る服をイメージして作った、極端なビッグシルエットのダッフルコートがまさに良い例です。これは今回別注アイテムも制作した思い入れのあるアイテムです」
阿部潤一というフィルターを通して生み出されたコレクションは、常にチャレンジに満ちています。「これからも15周年、20周年と、一緒に楽しい挑戦をしたいですね」という阿部さんの言葉に、カラーがランドオブトゥモローとともに歩んでくれる素敵な未来を感じました。